ああ、また、これかと思われるかも知れない。陸上自衛隊不要論である。
(ここでは、近年の陸自の海兵隊化や、対テロ部隊化や、軽量旅団化の話しは無視する。ここで問題にしたいのは、昔ながらの強大な火力を誇る重厚長大型機甲師団および対ソ型方面隊機構である)

反論はいろいろあろう。結局は、強力な陸上兵力があれば、敵は侵攻を諦めるという”陸上自衛隊ゴールキーパー論”である。

それでは、逆に擁護する立場から考えてみたい。陸上自衛隊は「いったい、どのような攻撃を想定して訓練しているのか」である。

陸上自衛隊も軍隊であるから、敵の攻撃を仮定して訓練をしなければならない、では、その攻撃地点はどこを想定しているのか?

再び、アメリカと戦うというのなら、硫黄島・沖縄が戦場となるだろうし、ロシアが相手なら、サハリン・千島列島からの侵攻および北海道が主戦場だろう。
そして大陸から攻撃ならば、対馬・北九州沿岸への攻撃を想定しているはずだ。
何が言いたいのかといえば、仮にこれらの地点への上陸を仮定しているとして、統合幕僚監部は本当に「本土決戦を想定しているのか」ということだ。


話しを戻して、憲法改正論である。どこをどう誤魔化そうが、憲法改正の目的が9条廃止なのは明白である。当たり前だ、はっきりと条文に、日本は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」
と書いてある。では、いまある自衛隊は何か。単なる武装公務員だなんて通じる人間は居ないだろう。
個人的に憲法改正は必要であると思う。憲法改正に反対するのなら、自衛隊廃止も併せて主張するべきだ。知る処、そのようなバカな主張は共産党しかしていない。
(このような実現不可能な主張をする赤馬鹿も一人は必要だと思う。根本的に現状を見直すのも、また有効だ)

与党である自民党の改正案が必ずしも良いとは思わない。
だが、健全なら野党なら、それに代わる国防方針を示すべきである。それには最悪の場合を想定して、日本が「本土決戦を行うか、行わないか」も議論に含まれていいはずだ。
国防方針として、本土決戦まで行わず、空海軍力が消滅した時点で、全面降伏というのも一つの方法だと思う。戦って死ぬよりも、奴隷として生きるほうが良いという人間も居るだろう。
そこの点が明確であれば、前大戦のように、ずるずると降伏時期を遅らせ、何十万人も原爆で焼かれる事も無かっただろう。

憲法論議で、そんな事まで詰める必要などあるのか、という向きも居るかも知れない。
しかし、海外派兵の一自衛官の小銃携帯の有無まで国会では論議された事がある。


法は「こう在るべきだ」より、「これだけはしてはならない」という存在だ。逆に言えば、法に書かれていない事は行っても良い。それによって自由が保障される。
ならばこそ、「これだけはしてはならない」という項目を明確にすべきである。

現に日本は陸海空軍力を保持しているのだから、憲法はこれを認めるべきである。
問題はその陸海空軍力を「どのようにして縛るか」である。
具体的には、「どのようにして開戦を決定するか」と、「どのようにして終戦を決定するか」であろう。そして、本土決戦論はその終戦の時期・方法の決定に大きく影響する。
むろん、本土決戦を行わないのであれば現行の方面隊編成は不要である。

憲法九条死守論者は、少なくとも自衛隊廃止論、少なくとも方面総監部不要論も併せて主張し、在るべき国防システムを掲示すべきであろう。


【参考】
[陸自の命令一元化 「陸上総隊」を検討 方面隊は維持、複雑化も]
http://www.kamiura.com/whatsnew/continues_2071.html